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明治用水頭首工について

苗が育ちすぎると田植え機の規格から外れて

機械による田植えができなくなってしまうので、

「予定より1週間以上田植えが延期されている」

かつ「農業用水の復旧の目途がついていない」

という現状は本当にやばいですね…。

>5/25 午後のニュースで、農業用水の試験供給が開始されたそうです。

5月中に全ての水路に農業用水を供給できれば、被害は最小限に抑えられるのでしょうか。

6月になると麦の収穫時期が来てしまうのでは…

農政局職員のコメントに「麦を優先するか、米を優先するか悩ましい」とありますが、

とにかく一人でも多くの農家さんの水不足が解消されることを願います。

安城産業文化公園デンパーク (denpark.jp) 世界かんがい施設遺産:農林水産省 (maff.go.jp) ねえ、魔理沙。「頭首工が漏水しちゃって水が取れない」ってニュースを見たんだけど。 つい最近の話題だな。まさか全国放送で頭首工ってワードを聞くとは思わなかったぜ。 どうせなら楽しい情報で有名になってほしかったんだが…。 ニュースでは水が取れないから大変、ってことくらいしか説明されていなかったのよ。 詳しく教えてちょうだい。 おっけーおっけー。 この動画は急いで作成しているから、いずれ改訂版を出す予定だが、 今回は2022年5月に大規模漏水が起きてしまった 明治用水の歴史について、 解説していくぜ。 よろしくお願いします。 まず、明治用水の概要を紹介するぜ。 明治用水は、矢作川を水源として、 愛知県安城市を中心に8市にまたがる 約6,000haの農地に水を供給している農業用水であり、 西三河地方南西部に工業用、上水道水の水を供給する用水でもある。 農業と工業と上水道の水を供給する施設なのね。 それぞれどのくらいの量を使っているのかしら? およその値になるが、全体の取水量が34万トンの時、 農業に30万トン、工業に4万トンの水を供給している。 明治用水頭首工のパンフレットから取水量のデータを引用しよう。 右岸 34.02 m3/秒  矢作川総合明治地域農業用水 30.00 m3/秒 愛知県西三河工業用水 4.02 m3/秒 左岸 8.17 m3/秒 矢作川総合南部地域農業用水 1.44 m3/秒 矢作川第二地区農業用水 5.50 m3/秒 愛知県水道用水 1.23 m3/秒 今回穴ができてしまったのは左岸の取水口の付近で、 ニュースの映像で映っているのは主に左岸側だな。 ただし、被害は右岸取水口の受益地区にも広がっているぜ。

えーと、魔理沙。 この地図を見ると左側に右岸、右側に左岸って 書いてあるんだけど…。 おっと、河川の左岸右岸の決め方についてはルールがあるから、 それを紹介するぜ。 お願いするわ。 霊夢の言う通り、この地図の左右と矢作川の左岸右岸は 逆になっている。 というのも、河川の左岸と右岸は 川の上流から下流側を見た時、 左にある方を左岸、右にある方を右岸 と定めているからなんだ。 川の流れを基準に決めているのね。 河川の流れる向きは 標高の高いところから低いところへ、 山側から海側へ、日本全国で様々だからな。 地図上の左右を基準にするとぐっちゃぐちゃになっちまう。 なるほどね、よく分かったわ。 でも慣れてないと混乱しちゃうわね。 そんな人は、自分が川下りするボートに乗っている状況を 想像してみれば理解しやすいと思う。 (なんかこのボートすぐ沈みそうだな…) 川の上流から下流に向かう時の向きを考えることで、 河川の左岸右岸はマスターできるぜ! 河川・砂防・ダム調査など、分野によっては 向きが違うので要注意だけどな。 「マスターできる」って豪語した一秒後に 別の情報持ってくるの、やめてもらっていいですか? すまんすまん。 とりあえず今回左岸右岸についての話はこれくらいにして、 次は明治用水の歴史を紹介していこう。 おっけーおっけー。 この地域は碧海(へきかい)台地といって

元々水不足に悩まされており、 江戸時代末期に豪農・都築弥厚(つづき やこう)が 用水の開削を計画した。 数学者・石川喜平(いしかわ きへい)

の協力を得て測量を始めるが、 「水害が起きるのでは?」 「集落で共同利用できる山林や草刈り場などの 入会地(いりあいち)が減ってしまうのでは?」 と心配する農民たちにより妨害されるんだ。 1833年(天保4年)3月に幕府に計画の一部を許可されたものの、 同年9月に弥厚は病没し、計画は頓挫してしまう。 せっかく(一部とはいえ)計画が認められたのに、 無念だったでしょうね…。 時は流れ、約30年後、明治維新が起こった。 岡本兵松(おかもと ひょうまつ)が用水計画を出願するも、 しばらく日の目を見なかった。 1872年(明治5年)には愛知県が成立し、 伊豫田与八郎(いよだ よはちろう)の出願していた 「矢作川右岸低地の排水」「台地のかんがい計画」 と一本化することで、ようやく用水計画の許可が下りたぜ。 普段河川にある設備を見ても何とも思わなかったけど、 その設備を作るために尽力した人々のおかげで 私たちは安定して水を利用できているのね。 ああ。 普段意識することは少ないが、 気が向いたら地元の河川やそれに関わる施設の歴史を 調べてみるのも面白いと思うぜ。 自由研究の題材としても良さそうね。 さて、都築、石川、岡本、伊豫田といった人物の活躍によって 1880年(明治13年)、とうとう明治用水は完成した。 当時の水田面積は2,000haだったんだが、 27年後の1907年(明治40年)には 水田面積が8,000haを超える大穀倉地帯になった。 明治用水のおかげで水田の面積が4倍以上に増えたのね。 この地域は台地なので、秋に水門が閉じられると、 水田は水が抜けて畑になる。 冬期には麦、野菜、菜種、れんげ、といった作物が栽培されて、 耕地の高度利用が行われた。 安城農林学校長・山崎延吉(やまざき のぶよし)の助けもあり、 米作、養鶏、養蚕、果樹などの様々な営農が実施され、 多角形農業と呼ばれて普及したそうだ。 「日本のデンマーク」とも呼ばれたことがあるらしい。 「日本のデンマーク」? 国の国、ってどういう比喩なのよ。 私も個人的には納得行ってないけど、 当時世界的な農業大国であるデンマークに匹敵するほど 優れた農業地域である、ということを言いたいんだろうな。 へー。デンマークが農業大国なのも初めて知ったわ。

安城産業文化公園デンパークは

東海オンエアファンとして

行ってみたい場所の一つだぜ。 2016年(平成28年)には、 ・人工の石である「人造石」を利用した堰堤の建設 ・官民連携 ・農家の自発的な水路維持管理

の卓越した例 であることが認められて、 国際かんがい排水委員会(ICID)による 世界かんがい施設遺産に認定された。 世界遺産のかんがい施設バージョンって感じかしら? すごいじゃない。 世界で17か国123施設が登録されており、 かんがい施設ということもあって 稲作が盛んなアジアの国が多いぜ。 リンクを貼っておくから、興味のある人は 農林水産省のHPを見てくれよな。 これまで明治用水の概要、歴史を紹介してきたが、 やはり避けては通れない話題として、 2022年5月に発生した大規模漏水事故を見ていこう。 この動画を作成している時点で 集められた資料をもとにしているので、 公開後には状況が変わっている 可能性があることに注意してね。 というかむしろ状況が改善していることを祈っているわ。 以下、5月18日のYahoo!ニュース記事より引用するぜ。 東海農政局 大坪 寛次長 「最初は小さな穴だったが、 だんだん大きくなって水が抜けてしまった。」 (引用ここまで) 穴が開いたことで、川の水が堰き止められなくなってしまった。 地域の工業や農業に影響が広がっている。 現在は応急処置としてポンプで水をくみ上げているが、 水がどこから抜けているのか、 開いてしまった穴を見つけ出して 抜本的な復旧を行うには時間がかかる見込みだそうだ。 トヨタ自動車など工業や火力発電への影響が ニュースでは先行している印象を受けたが、 農業は1年に1回しか作付出来ない。 農家さんの生活はもちろんのこと、 私たちの食糧にも影響が出るだろう。 今はちょうど田植えシーズンで、 1年で1番水が必要な時だものね。 一刻も早く復旧することを願っています。 というか、このニュースのテロップおかしくないか? 「工業用水や農業用水として矢作川の水をくみ取る」 とあるが、工業用水の取水量は34万分トンの4万トンしかないんだぜ? 日本語で列挙する時は、先に並べた方が主という印象を受けるだろ。 頭首工の施設管理者は明治用水土地改良区っていう農業関連の法人だ。 明治用水に関わるお金だって、 34万トン分の30万トンを利用する農業の方が多く出している。 なのに報道では工業のことを先行して取り上げているし、 復旧の順番が工業優先なのは絶対おかしいと思う!!! どうどう、落ち着いて…。 今後もこのチャンネルでは明治用水を追っていく予定だから、 今回の動画を見て気になったこと、分からないことがあれば コメントしてくださると嬉しいわ。 高評価やいいね、チャンネル登録は 本当に動画作成の励みになるから、 してもらえるとありがたいな。 それじゃ、最後までご視聴ありがとうございました!

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