<要約>
水は経済財か人権か→すべての人にとって水は人権
3/22は「世界水の日」 世界水の日 - Wikipedia
この本の主旨:
新自由主義への抵抗
民営化or再公営化の二者択一ではなく、住民の水への関心を高めることが必要
「これ以上、行政は現場を失ってはならない」
「水道事業の目的が公共の福祉の増進である」
水道事業は住民の財産
水は公共の財産
大阪に住んでいたこともあって、5章の内容が興味深かった。大阪メトロ、民営化して「綺麗になったな」って思っちゃうんよな(筆者は市営地下鉄の民営化に否定的な考えを持っていた)
第5章 「公共の水」をどう維持し、発展させるか
1) 大阪市の事例
2) 岩手中部水道事業団
3) 公公連携、公民連携、住民参画、流域連携
エピローグ 水は自治の基本
水ジャーナリスト 橋本淳司
水道の起源は、紀元前312年の古代ローマのアッピア水道
その後300年をかけて440 kmの水路が建設され、ローマ帝国は大いに発展した。
水道が引かれたのはローマの支配下にある街であり、服従の象徴という見方もできる。
水供給は自分でコントロールすべき
「自分の水供給は自分でコントロールするように。さもなければ少なくとも、あなたの水供給をコントロールする者たちには責任を取らせるように」
「歴史を通じて、水供給が権威を持つ者たちによって、その権威をさらに強化するために操作されたことはまったく明らか」
『渇きの考古学―水をめぐる人類のものがたり』(スティーブン・ミズン著)
水道料金=(分子:施設・設備費(ダムや浄水施設、水道管などの設置、維持費用)、運営費(職員給与、支払利息、減価償却費、動力費や光熱費)、受水費(ダムや近隣の浄水施設からの水供給費用)など水道にかかるコスト)÷(分母:給水人数(家庭での利用、病院、ホテル、飲食店などでの利用))
インフラストラクチャー:「下支えするもの」という意味だが、インフラを「いかに維持するか」という視点だけでは、対症療法的な議論ばかりになって、根本的に解決につながらない
水道事業の現状と、設備更新を実施しない場合に生ずるリスク・対策などの情報をオープンにして討論することで、町民は自分たちの水道の将来を考える。
水源から蛇口、排水口から川までに意識を巡らせ、地域への関心を高めることが、持続可能なまちづくりとインフラ整備につながる。
印象に残ったフレーズ
「水は人権、水は公共財」
読んでみた感想
日本に住んでいると、蛇口をひねれば飲用可能な水道水が手に入れられるから、「水」というものを貴重に思うことが少ない。キャンプや現場調査で水道が通っていない場所に行くと、途端に水のありがたみを実感するが、都市部で生活する人はその機会も少ないだろう。
そうした人々にとって、対岸の火事と認識している「上下水道の問題」を意識させてくれる、良い本であったと思う。この本をきっかけにして、自分が住んでいる地域の水がどのように供給されているのか、排水されているのか、興味を持ってもらえるといいなと思う。
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